2024.09.10 | 雑記
展覧会『AFTER IMAGE(残像)』へ
大牟田市のin the past™さんで開催中の展覧会『AFTER IMAGE(残像)』へ足を運んできました。
会場にはイラストレーターの網中いづるさんと写真家のいわいあやさんが、2023年11月に数日間ともに滞在していたパリの街の「残像」があちこちに散りばめられていました。
特に心に残ったのが、いわいあやさんがドイツの国境に近いアルザス地方のマルレンハイムの丘で撮ったという小さな修道院と空の写真です。この写真が、私がずっと抱き続けてきたまだ見ぬドイツの地への憧れという「記憶」を改めて呼び覚ましてくれたような気がしています。この展覧会の背後にあるもうひとつのテーマ「AI(人工知能)」にはない人間としての本質や人間らしさとは、こういった情緒のようなものではないかと思うのです。
展覧会では、網中いづるさんと高山活版社がともに作り上げた『端材のノート』も販売していただいています。9月23日(月・祝)まで開催中とのことですので、芸術の秋にぜひ大牟田市のin the past™さんへ足をお運びください。
文責:高山香織
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AMINAKA IZURU & AYA IWAI
EXHIBITION “AFTER IMAGE”
⦿会期:2024年9月6日㊎〜23日㊗︎ 0 p.m.〜 6 p.m.
⦿期間中のお休み:毎週水曜日
⦿ところ:in the past™(大牟田市本町1-2-19 中原ビル1F)
⦿作家在廊日:
網中いづる 9月6日㊎〜8日㊐
いわいあや 9月6日㊎〜8日㊐、16日㊗︎、22日㊐、23日㊗︎
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主に人の視覚で光を見たとき、その光が消えた後も、それまで見ていた光や映像が残って見える現象を『残像(After Image)』と言います。
本展示では、『残像』を『心に残る景色、光景』、『なんとなく心に留めている記憶』また、『強烈に残る光』と解釈し、イラストレーターの網中いづるさんと、2022年10月にin the past™で写真展を行った、写真家のいわいあやさんの両氏にテーマを投げかけ、その後、各々が再解釈と考察を重ねながら作品を制作。制作期間中の、昨年(2023年)11月には、約1ヶ月間、いわいさんはパリへ滞在し、そこへ網中さんも合流。数日間、パリで共に過ごし、それらに関する作品も数点制作しているようです。
また展示会には、「AI(人工知能)」というテーマが背後にあります。ますます私たちの暮らしに深く関わっていくAI。画像生成や文章作成などの生成技術の精度は日々進化、発展しています。それにより人間(ヒト)としての本質、人間らしさとは何かを、ますます問われる時代に差し掛かっていると感じています。
画像や言葉はボタンひとつで生成できても、経験に基づいた「記憶」を生成することは、AIにはできないはず。そういった隠喩も込めつつタイトルを「After Image」としました。奇しくも、網中さん、いわいさんのそれぞれの頭文字が『A.I.』だったのは、偶然ではないのかもしれません。
もちろん、ここにその答えや正解があるわけではありません。しかし、『らしさ』を考えるためのきっかけやヒントが、お二人の作品に無数に散りばめられています。網中いづる、いわいあや 『AFTER IMAGE』で皆さまのお越しをお待ちしております。
photo by @gouniiruzu